以前、国際金融の勉強と実践を兼ねてシンガポールのHSBC SG(香港上海銀行。SGはシンガポール)に口座を開設したことがありました。シンガポール在住でない外国人でもある程度の英語ができれば書類のやり取りで口座開設できる時期で、とにかく試しに作ってみてその後はネットバンキングで外貨預金でもやってみるかってという感じで軽く考えていたのです。

ところがこれがもう大変!口座開設はすんなりいきましたが、ネットバンキングでトラブルが発生して以降は…何かあるとHSBC SGから国際電話がかかってくるんです。しかも…これは果たして英語なのかという英語で! 

初めての電話の時、私の英語力ではとうてい対応できず、途中からあをいさんに代わってもらいました。HSBC SGの担当者は最初こそ「誰」と聴いてきましたがが妻というとOKとなりました。 で電話を代わってもらって横で聞いていましたが、助かったと思ったのも束の間、あをいさんですら「何を言うてるかぜんぜんわからへん」レベルの訛りの入った英語だったようです。相手の話が理解不能できませんから何度も聞き直し、ようやく聞き取れて話をすれど、それに返ってきた話がまた聴き取れない…途中、専門用語だって入ってきます。そんなやり取りが数十分と続いて、電話を切ったころにはあをいさんも私も、きっと担当者もヘトヘト。それでも問題解決したわけではなかったので「また連絡します」とお互いに(涙)。

この一件以来、あをいさんは電話を代わってくれなくなりました。

以後、私だけで対応することになり、埒が明かずに口座を放置した状態です。それでもあちらは口座管理手数料を取りますので年にいくらか送金して資金ショートだけは避けていますが…。

なんの話かって?

昨日の大谷選手の会見を聴いていて、「そりゃあ、英語力がまだ不十分な大谷選手(実は相当できるらしいですがネイティブレベルではない)なら、銀行との面倒なやり取りは一平さんに頼むやろなあ。銀行も取引のはじめの頃はともかく、一平さんを窓口にと大谷選手が決めてしまえば二人の関係性からしてその後は一平さんの指示で疑問を持たずに資金を動かすやろなあ。」と。

私は、一平さんは何か特別な手口を使ったのではなく大谷選手と銀行の両者から得ていた「信用」を使ったのだと思いました。もしそうだとしたら、単に悪い奴に大金をだまし取られたという次元ではない、もっとも信頼を置いていた人に裏切られたという、大谷選手にとって本当につらい出来事だと思います。

それでも会見の後半は「一平さん…」と呼んでいましたね。やっぱり慕う気持ちもあって寂しいんでしょうね。大谷選手にとって嫌なことを忘れて大好きな野球に夢中になれる環境が一日も早く訪れることを祈っています。

追伸。

以前、海外で活躍しておられるある方が「ビジネスの場では通訳をつけるのが正解。ただし、少なくとも通訳の話す英語が理解できる、もしくはニュアンスの違いを指摘できる程度の英語力は自ら持っておかないと間違いが起きます」と教えてくださいました。私たちが身に着けるべき英語力にはいろいろなものがありますが、私はこの「聴く」力が何より大切と思っています。